磁気アルキメデスの原理
- 氷が水に浮くのは、氷の密度が水の密度よりも小さいからです。「密度」は、地球の引力がその物体に働くときの単位体積当たりの引力の大きさを表していて、密度が大きいほど地球に強く引かれることになります。氷と水の場合は、水の方が氷よりも地球に強く引かれるため、氷は水によって押しのけられて地球から遠ざけられることになります。つまり、引力と反対方向、すなわち「水に浮く方向」に働く力が働くので、アルキメデスの原理は「浮力の原理」とも言われます。
同じようなことが、磁石の周囲でも起こります。つまり、磁石に引き付けられやすい物体(液体や気体)の中に磁石に少しだけ引き付けられる物体を入れれば、後者は磁石から遠ざかる方向へ動くことになってしまいます。これが「磁気アルキメデスの原理」(Y. Ikezoe et al., Nature (1998))です。この原理をうまく使えば、磁石の力を増強し、不可能だと思われていたことも可能にできます。図1 磁場中で浮いた水の写真(直径2cmほど)